最果ての古本屋


 東北から帰って来ました。
 計20日間。栃木、福島、宮城、岩手、青森と北上し、本州最北端(下北半島)まで行き、帰りは日本海側へ出て、秋田、山形、再び福島、栃木と南下し、東北全県をバイクで回りました。しかし、疲れた。ユーラシア大陸を旅した時より、疲れたかもしれない。



会津街道で見つけた、怪しい古本屋。残念ながら、早朝だったので閉まっていた。)



 盛岡・弘前間の津軽街道では、安比高原あたりで突然の大雨にパンツの中までびしょ濡れ。最初に泊めてもらった栃木の友人宅で聞いて、頭にこびり付いていた野坂昭如の「サメに食われた娘」を口ずさみながら、8月30日、ようやく下北半島の中心地・むつへ到着。
 むつへ着いて、まず最初にやったこと。それは、本州最北の古本屋を探すこと。
 「全国古本屋地図2000年版」(日本古書通信社)によると、むつにある古本屋は2軒。本州最北駅の大湊駅前にある十七夜書房、そしてその少し北にあるリサイクル・ブックセンター。さらに電話ボックスに置いてあるタウンページで調べると、あと3軒。あらかじめ知っていたブックマーケットのむつ店、そして太陽堂、川井書店。さっそく電話してみると、そのうちの2軒は連絡が付かなかった。


 まずブックマーケットへ行ってみた。ここはチェーン店であるから、他のブックマーケットとさほど変わらなかったが、気のせいか本の数が少ないか。通常100円均一であろう書籍群が200円均一というのは、山の上の水が高いように、場所柄仕方ないのか?
 次に太陽堂。ここはリサイクル・ショップであった。東北の郊外型新古書店全般に言えることなのだが、CD、ゲームはもちろんのこと、電化製品、古着、家具、ベビー用品などが店内に溢れ、古物のひとつとして古本を扱っているに過ぎないのだ。
 首都圏のブックオフなどでも、そのような店は多いが、東北では、その傾向がより顕著。本(あるいはレコードなども)というアイテムが他の古物と違って、特別な、ある意味、フェティッシュな魅力さえ感じるという感覚は、一部のマニアだけであるということを、地方ではさらに思い知らされた。


 最後に、地図で確認すると、おそらく最も北に位置するであろう、リサイクル・ブックセンターに行ってみた。名前からして、太陽堂のようなリサイクル・ショップを連想したが、以外にもここは純粋?な古本屋であった。
 ほとんどがコミックではあったが、その小さな店内を見回しながら、こんな辺境の地で古本屋なんて、さぞかし苦労も多いだろう、そう思い、文庫本を1冊購入した。