〈変態〉の時代
自家目録の1号が縁でお会いした性医学研究の先生から「キミはこの本を参考に目録を作ったのでしょう?」と言われた本がある。
それが、この本。
- 作者: 菅野聡美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/11/18
- メディア: 新書
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先生から教えていただくまで、僕はこの本を読んだことがなかったので、もちろん、参考にした訳ではないのですが、僕の今の興味が分かりやすく解説されているようでとても参考になりました。知っていたようで知らなかったことばかり。
古本屋の先輩方から見れば、「今更そんなものを・・」と言うことになるのかもしれませんが、僕にとっては古書の市場で出会うものは、初めてのものばかり。どれも新鮮です。
お客さんにとってだって、結構そうなんじゃないでしょうか。いや、そうであって欲しい。
この本の中に、股旅堂の取り扱いジャンルについて説明するのにピッタリの文章があるので、引用させていただきます。
柳田(國男)民俗学が切り捨てたのは「都市」と「性」だといわれています。そこに「犯罪」を加えてもよいでしょう。昔ながらの生活を日々営む「常民」は犯罪とは無縁の平凡な存在と思われがちです。でも本当にそうでしょうか。常民すなわち一般民衆と犯罪者は紙一重ですし、彼らにも性生活があり、そして性的好奇心や野卑な覗き趣味をもつのもまた普通の人々でしょう。
柳田の「後狩詞記」における隠されたテーマは殺生であり、そして「遠野物語」においては犯罪と猟奇がテーマだったと指摘があります。怪談や実際に起こった殺人や子捨てが民話的な語りに隠蔽されているのです。したがって初期の柳田の関心は非日常的なもの、背後に隠されているもの、オドロオドロシイモノに向いていたとされています。
それが大正中期から、柳田はこうした危ういテーマを封印して、常民を中心とした一国民俗学確立を目指していきます。初発において犯罪や異常なるものに関心を向けていたはずの柳田が常民へとかたむき切り捨ててしまったもの・・・・・
その切り捨ててしまったもの・・・
次号も基本的には、この路線で行こうとは思っていますが、やっているのは、あくまで商売です。あまりジャンルを狭めると仕入が無理だし、凝りすぎると継続して発行していくのが難しいので、広義(ジャンルも年代も)で上記のようなものを扱っていけたらと思います。
次号は秋頃を予定しています。