ゲンセンカン主人

 仕事が一段落ついていたので、急遽、前々から予定しながら延び延びになっていた、つげ義春「ゲンセンカン主人」の舞台になった群馬県の湯宿温泉へ行ってきた。
 前日、天気予報などで調べたところ、関越道は月夜野インターあたりから雪でチェーン規制していると聞き、あわててタイヤチェーンを買ったりしたが、それほど降ってはおらず、結局チェーンは使わなかった。(途中のパーキングで、チェーンを付ける練習をしていたら、長距離トラックの運ちゃんが親切に教えてくれた) 
 つげさんが訪れた時から30年以上経っているので当たり前なのだが、ゲンセンカンの舞台になった「大滝屋」はかなり改装されており、つげ義春的な寂れた雰囲気を味わうにはやや物足りないかと一瞬思えたが、立派になったのは外見だけで、失礼な話だが、中はなかなかの寂れた感じをかもし出していた。徐々に降り積もる雪や、じいさん、ばあさんしか泊まっていないところが、より一層その雰囲気を増していたかも。
 宿の人に、つげさんが泊まった部屋を見せて欲しいと頼んだところ、現在離れにある接骨医の2階が以前は客間として使われていて、つげさんはそこに泊まったらしいが、そこは完全に建て替えたため、現在は部屋はないとのことであった。残念である。
 ちなみに、大滝屋にマンガのような女主人はもちろんいなかったが、いまだに混浴ではあった。 
 つげ義春の作品の舞台を訪ねるのは、「ねじ式」(千葉県外房・太海)、「リアリズムの宿」(青森県鯵ヶ沢)、「二岐渓谷」(福島県二岐温泉)、「もっきり屋の少女」(福島県会津街道・大内宿)に続いて5箇所目。次は、「海辺の叙景」「初茸がり」「紅い花」「西部田村事件」の舞台になった千葉県外房の大原〜大多喜に行こうかと思っています。